万一に備えるための〜保険の相続対策
万一に備えるための〜保険の相続対策
文書作成日:2016/11/05


 夫の死亡保険金の受取人が前妻のままでした。夫は既に亡くなっていますが、この保険金受取人を変更することは可能でしょうか。




 先日、私の夫が亡くなり、夫が加入していた生命保険契約を確認したところ、受取人が前妻に指定されたままになっている契約が見つかりました。今からでも受取人を変更することは可能でしょうか?

  <契約内容>
  ・保険種類:終身保険
  ・契約者(=保険料負担者)、被保険者:夫
  ・受取人:前妻
  ・保険料:前妻との婚姻期間中に払込完了




 ご相談のケースでの死亡保険金請求権は、被保険者(=夫)が亡くなった時点で受取人に指定されている前妻の権利になり、受取る死亡保険金は前妻の固有の財産として扱われます。続柄に「配偶者」と記載があっても、今の配偶者が優先されることはなく、変更することはできません。




 理由は、生命保険契約における受取人の指定は、保険期間中に契約者のみが保持する権利であり、他者の意思によって変更できないためです。実際、このように受取人が前妻になっていた場合、単純に変更手続きを失念されていたことが原因と推察するのが一般的ですが、中には夫が前妻と離婚時に約束していた等の事情により、契約者である夫の意思で、あえて受取人を変更していないこともあります。

 また、死亡保険金は相続財産ではなく受取人である前妻の固有の財産となるため、原則は「遺留分減殺請求」の対象にならず、前妻の同意が得られない限り、ご質問者様を含むご遺族が、保険金全額又はその一部を前妻に請求することも難しいでしょう。

 なお、前妻が受取った死亡保険金は当該契約の契約形態であれば、「遺贈」により取得したものとされ、「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。
 実際に相続税負担が発生するか否かは夫の相続財産総額と法定相続人の数等によりますが、相続税の計算において夫の法定相続人ではない前妻は、生命保険の非課税枠(※1)が適用できず、また税額は2割加算(※2)の対象となるため、相続税の面では法定相続人より不利になります。

 単純な手続きの失念により、不本意な遺産分割や揉め事を招くおそれがありますので、結婚、離婚など環境が大きく変わるときには 目に見える財産に関する協議は勿論のこと、保険金受取人についてもきちんと確認しておくことが大切です。

(※1) 生命保険の非課税限度額=500万円×法定相続人
(※2) 相続、遺贈によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含む。)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割相当分が加算される


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