フルーツ狩りは、消費税の軽減税率の対象となりますか?
出演: ・・・M社 経理部 まい
・・・顧問税理士
― M社 会議室にて ―
M社経理部まいと顧問税理士が、打ち合わせを行っています。
そういえば先生、先ほどお出しした果物、先日会社の日帰り旅行で訪れた果樹園のものなんです。
そうでしたか。
みずみずしくて、とても美味しかったです。
ごちそうさまでした。
そこの果樹園では“30分食べ放題”のフルーツ狩りをしていて、その場で食べたんですけど…。
30分って意外と長くて。たくさん食べなきゃと意気込んだら、10分も経たずにお腹いっぱいになっちゃいました。
(笑)
ああいう“フルーツ狩り”って、軽減税率制度がスタートすると、軽減税率になるのですか?
なりませんね。
“フルーツ狩り”は、いわば“入園料”ですから。
「飲食料品の譲渡」ではなく、「役務の提供」に該当します。
つまり、今年の10月1日以降についての消費税率は、標準税率の10%です。
フルーツ狩りの他にも、お土産用に箱単位で果物を販売していましたが、これも10%ですか?
そちらは「飲食料品の譲渡」になりますので、軽減税率の8%を適用します。
先ほどの“フルーツ狩り”についても、入園料とは別に、収穫した果物自体に別途料金がかかるような場合には、その料金については果物の販売になりますので、「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用となります。
へぇ。
私は消費者側なので、提示された料金を支払うだけですけど。
結構面倒ですね。
そうですね。
例えばそこの果樹園の経営者が消費税の納税計算について簡易課税制度を適用している場合には、このような軽減税率対象取引についての事業区分が、改正によって、第三種事業から第二種事業へと変わりますし。
軽減税率の適用可否とともに、簡易課税制度を適用する場合には、事業区分が変わることも把握しないといけませんから、慣れるまでは結構大変だと思いますよ。
考えただけで頭痛くなりそう。
えぇ。
簡易課税制度といえば、適用をするのに通常は、適用を開始したい課税期間の開始の日の前日までに届出書を提出しなければなりませんが、期間限定で、適用を開始したい課税期間内に届出書を提出すれば、その課税期間から適用が認められる届出の特例があります。
期間限定とは、いつからいつまでですか?
今年(令和元年)の10月1日から来年(令和2年)9月30日までの日の属する課税期間、になります。
例えば課税期間を1月1日から12月31日までと仮定した場合、この届出の特例が認められる課税期間は、令和元年分の課税期間とその翌年の令和2年分の課税期間、ということになります。
へぇ。
その場合であれば、その課税期間から適用するかどうか、判断できるチャンスが2回あるわけですね。
ご理解のとおりです。
ただ、問題なのは、簡易課税制度は一旦適用を選択してしまうと2年間はやめられませんし、やめるための届出については特例がない、ということです。
簡易課税制度はメリットもあればデメリットもありますので、慎重な判断が求められます。
選択の自由って聞こえはいいですけど、リスクも背負うのでちょっと怖いですね。
そうですね。
簡易課税制度の選択は、将来の展望と詳細なシミュレーションが必要です。
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